塗り薬(外用薬)
足白癬では外用薬が治療の中心です(CQ1・推奨度A)。一方、爪白癬用の外用液は内服薬より完全治癒率が低いことがガイドラインに明記されています。都合の悪い数字も、そのまま載せます。
足白癬の外用薬:系統と塗り方
日本で使える外用抗真菌薬はすべて1日1回の塗布でよい。系統は、イミダゾール系(種類が最も多く、カンジダ症や癜風にも保険適用がある)、モルホリン系、アリルアミン系、ベンジルアミン系(カンジダ症には保険適用なし)、白癬のみに有効なチオカルバミン酸系に分かれる。[1]
| 系統 | 一般名 | 商品名 | 剤型 | 保険適用 |
|---|---|---|---|---|
| イミダゾール | オキシコナゾール硝酸塩 | オキナゾール | クリーム,外用液 | 白癬,カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | クロトリマゾール | エンペシド | クリーム | 白癬,カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | ケトコナゾール | ニゾラール | クリーム,ローション | 白癬,皮膚カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | ネチコナゾール塩酸塩 | アトラント | クリーム,外用液,軟膏 | 白癬,皮膚カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | ビホナゾール | マイコスポール | クリーム | 白癬,カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | ミコナゾール硝酸塩 | フロリードD | クリーム | 白癬,カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | ラノコナゾール | アスタット | クリーム,外用液,軟膏 | 白癬,カンジダ症,癜風 |
| イミダゾール | ルリコナゾール | ルリコン | クリーム,液,軟膏 | 白癬,カンジダ症,癜風 |
| モルホリン | アモロルフィン塩酸塩 | ペキロン | クリーム | 白癬,皮膚カンジダ症,癜風 |
| チオカルバミン酸 | リラナフタート | ゼフナート | クリーム,外用液 | 白癬 |
| ベンジルアミン | ブテナフィン塩酸塩 | メンタックス,ボレー | クリーム,外用液,スプレー | 白癬,癜風 |
| アリルアミン | テルビナフィン塩酸塩 | ラミシール | クリーム,外用液 | 白癬,皮膚カンジダ症,癜風 |
この表はガイドラインの表3をそのまま写したもので、商品名の登録商標記号(®)だけを省いている。並び順・列・語句はガイドラインのままで、このサイトが選んだものでも、効き目を比べたものでもない。いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品で、市販の水虫薬とは別のものである。
同じ系統のすべての薬剤に接触過敏性を有することがあるため、系統の異なる抗真菌薬を何種類か採用しておくとよいとガイドラインは述べている。塗り薬でかぶれたときに系統を変える判断があるということである。[1][3]
塗る範囲について、ガイドラインは病巣より一回り広く塗ることを挙げている。学会のQ&Aは、足白癬では一見症状がない部分も含め、両足の指の間から足の裏全体に、最低4週間(1カ月)毎日治療を続ける必要があると説明している。[1][4][5]
塗る期間の目安
| 臨床型 | 塗布期間の目安 |
|---|---|
| 趾間型 | 2カ月以上 |
| 小水疱汗疱型 | 3カ月以上 |
| 角化型 | 6カ月以上 |
いずれの型でも、鏡検で菌陰性を確認した後さらに1カ月の塗布を追加することが治癒に導くコツとされている。治験データは治療期間を2週間または1カ月と設定しているため、そこまでの塗布期間は臨床医の判断に委ねられているのが現状だとガイドラインは述べている。[1]
爪白癬用の外用液2剤と、その数字
爪白癬に保険適用を持つ外用薬は2剤である。ともに直接鏡検または培養などにより爪白癬と確定診断された患者に保険適用を有し、1日1回罹患した爪に塗布し、周辺の皮膚に付着した薬剤は拭き取る。[6]
| 一般名(濃度) | 試験 | 完全治癒率 | 真菌学的治癒率 | 推奨度 |
|---|---|---|---|---|
| エフィナコナゾール爪外用液10% | 海外第III相2試験(870例/583例)、48週まで外用後52週時点 | 17.8%/15.2% | 55.2%/53.4% | B(CQ3) |
| ルリコナゾール爪外用液5% | 国内の基剤対照RCT(194例、第I趾爪の爪甲混濁面積20〜50%)、外用開始48週後 | 14.9% | 45.4% | B(CQ4) |
完全治癒率は臨床的治癒かつ菌学的治癒を満たした割合、真菌学的治癒率は直接鏡検陰性かつ培養陰性の割合である。ガイドラインは両剤について、経口抗真菌薬に比べると治癒率が低く、再発に関するデータが少ない(ルリコナゾールはデータがない)ことを理由に推奨度をBとした、と明記している。[7][8]
一方で、長期の使用成績も報告されている。エフィナコナゾールでは、混濁比51〜75%の重症例で治癒率44.8%(58例中26例)、混濁比76〜100%で38.9%(36例中14例)という後向き研究があり、投与終了1年後の再発率は7.5%(4/53例)および8.6%(11/128例)と報告されている。[7]
塗り薬でかぶれることがある
学会は、水虫の塗り薬でかぶれた例を診察することがあり、使用中に症状がひどくなった場合は接触皮膚炎を疑って皮膚科を受診してほしいと説明している。かぶれと足白癬では、まずかぶれの治療を優先することになる。いずれの外用薬も2%程度までのかぶれの副作用が報告されている。[3]
とくに、指の間が湿ってふやけた趾間型や、びらんがあって浸出液が出ているような病巣はかぶれを起こしやすいことが知られており、趾間型の足白癬は皮膚科専門医を受診して治療を受けた方がよいとされている。[3]
このページの出典
- 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2515「1.1 手・足白癬」治療・生活指導
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2536 表3「表在性皮膚真菌症に使用される抗真菌外用薬の系統と一般名および代表的な商品名ならびに保険適用」
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q19 水虫の塗り薬でかぶれることはありますか?
https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q19.html(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q9 白癬の治療には何があるのですか?
https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q09.html(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q20 再発を繰り返すのはどうしてですか?
https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q20.html(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2516「1.2 爪白癬」治療(内服・外用・その他)
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2537-2538 CQ3(エフィナコナゾール爪外用液)
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2538 CQ4(ルリコナゾール爪外用液)
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認) - 厚生省医薬安全局長通知「みずむし・たむし用薬製造(輸入)承認基準等について」(平成10年5月15日 医薬発第447号)別紙 二(五) 別紙 二(五) 効能又は効果
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7531&dataType=1&pageNo=1(2026-10-10 確認)